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ヤナギムシクイ Japanese Name: Yanagi-mushikui

本ページには大西敏一氏に、秋の韓国で撮影された貴重な写真を提供していただいた。厚く御礼を申し上げる。

英名 English Name : Two-barred Warbler
学名 Scientific Name : Phylloscopus plumbeitarsus

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7. 2005年5月24日 石川県輪島市

本種の頭と背の色彩は通常ほとんど同じに見え、コントラストはないが、時にこのようにが背より暗色がかっている(灰色みがある)。Leader(1993)は、本種の頭頂はメボソムシクイに比べてわずかに暗色で、かつ灰色みがあり、良好な光線状況の下ではわずかに背との間にコントラストがあることを記述している。
また、本種の冬羽から夏羽への換羽は全身換羽で(山階 1941)、2月初旬から4月下旬に行われるが(Williamson 1967)、頭部の換羽は他の部位より遅いものと思われるので、渡り途中の個体の中には、いまだ頭頂の換羽を済ませていない個体が存在する可能性がある。もしかすると、春季の渡り途中の個体の中には、まだ頭頂の換羽が済んでいないために褪色して灰色っぽい色彩の個体が存在するのかもしれない。

文献:
Leader, P. J. 1993. The Field Idenrification of Arctic, Eastern Crowned, Two-barred greenish and Pale-legged Leaf Warbler in Hong Kong. Hong Kong Bird Report 1992: 153-159.

Williamson, K. 1967. Identification for Ringers2. The genera Phylloscopus, 2nd revised edn BTO Guide, No.8.
山階芳麿 1941. 日本の鳥類と其の生態 第二巻. 岩波書店, 東京.
8. 2005年5月24日 石川県輪島市

下から見上げたところ。下嘴先端は、メボソムシクイやエゾムシクイでは明瞭な暗色部がみられるが、本種では不明瞭である。また、体下面はメボソムシクイに比較すると、黄色みが少ない。
9. 2005年5月24日 石川県輪島市

大雨覆先端の白色部の幅が広く、明瞭な翼帯となっていることがよくわかるが、各羽毛の内弁にまで白色が広がっているという本種の特徴は、写真を詳細に検討しても確認しづらい。
加えて、エゾムシクイにおいても大雨覆の各羽の先端の白色部は、森岡(2002)の記述とはうらはらに、内弁にまで広がることが稀にあるという(深川正夫氏からの情報による)。したがって、この点によって両種を識別することは困難であるどころか、同定のミスを引き起こす危険性があると思われる。エゾムシクイと本種の野外での識別ポイントとしては、むしろ脚の色や太さ、声の違いなど注目すべきと思われる。
文献:
森岡照明 2002. 2001年5月5日舳倉島に出現したムシクイ類. Birder 16(9): 50-53.
10. 2005年5月24日 石川県輪島市
眉斑がメボソムシクイに比較して、嘴付け根近くまで延びており、耳羽はやや白っぽい。
11. 2005年5月25日 石川県輪島市
この写真では、大雨覆先端の白色部が、内弁にまで及んでいることがかろうじて分かるが、確認しにくい。
12. 2005年5月25日 石川県輪島市
この写真(個体)では、三列風切羽縁に細い淡色部が見えるので、キマユムシクイカラフトムシクイに似ていると思われるかもしれない。しかし、キマユムシクイやカラフトムシクイの三列風切の羽縁の淡色部は、外縁のほうが幅広く、かつ羽毛が擦り切れていなければ、もっとずっと幅が広い(春季の渡り個体にはしばしば羽毛が擦り切れて三列風切の羽縁の淡色部が不明瞭なキマユムシクイが存在するので注意すること)。また風切羽の付け根付近や大雨覆はキマユムシクイやカラフトムシクイではもっと暗色である。
13. 2005年10月20日 韓国小青島
 大西敏一氏撮影
秋に韓国で撮影された写真。日本では本種は春期、特に5月下旬に記録されることが多く、秋期の記録は少ない。
本種の冬羽から夏羽への換羽は全身換羽であるのに対し、冬羽から夏羽への換羽は部分換羽で、基亜種や多くの亜種では渡りの前に体羽、三列風切の一部、尾羽の一部を換羽する。秋の渡り時の多くの羽毛は、成鳥では翼や尾羽がすり切れ、翼帯が細くなる。それに対し、その年生まれの若鳥では羽毛が新鮮なので、外見からの齢査定が可能である。この個体は翼帯が太く、明瞭であり、磨耗が進行しているように見えないので、おそらく今年生まれの第一回冬羽であろう。
14. 2005年10月20日 韓国小青島
 大西敏一氏撮影
13と同一個体と思われる。下腹から下尾筒がやや黄色みを帯びている。これは秋の若鳥の特徴である可能性がある。
15. 2005年10月20日 韓国小青島
 大西敏一氏撮影
眉斑の黄色みは春の個体より強い。これは秋の若鳥の特徴かもしれない。
嘴はキマユムシクイに比較して、やや長く見える。

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