オオムシクイ Japanese Name: Oo-mushikui

学名 Scientific Name : Phylloscopus examinandus
英名 English Name : Kamchatka Leaf Warbler

メボソムシクイは従来、コムシクイやオオムシクイを含む一つの種として扱われてきたが、最近の研究によれば、これらは以下の3つの種に分けられるとされた。さらに、2012年9月に発行された日本鳥類目録改訂第7版(日本鳥学会 2012)も、この説にしたがい、メボソムシクイを3種に分けた。したがって、本サイトもメボソムシクイを3種に分けることとするが、当面は、いままでのページがどの種であるか、ページのトップに示すだけとする。

和名: コムシクイ  学名: Phylloscopus borealis  英名: Arctic Warbler
和名: オオムシクイ  学名: P. examinandus  英名: Kamchatka Leaf Warbler
和名: メボソムシクイ  学名: P. xanthodryas  英名: Japanese Leaf Warble

・近年のメボソムシクイ上種の分類の変遷について
(2012年12月現在において)最近、雑誌やインターネット上のウェブサイトを見ると、これらメボソムシクイ上種各種の分類の改訂について、少なからず誤解が生じているようなので、日本鳥類目録改訂第6版(日本鳥学会 2000)と改訂第7版(日本鳥学会 2012)で扱われているこれらの種(亜種)の分類とその変遷について、簡単にコメントしておく。

1.日本鳥類目録改訂第6版でのこれらの分類群の取り扱いについて。
 1)メボソムシクイは1種として扱われていた。学名は Phylloscopus borealis であり、英名はArctic Warbler だった。
 2)メボソムシクイには亜種が認められており、日本国内では以下の2亜種の記録が認められていた。
  亜種コメボソムシクイ Phylloscopus borealis borealis
  亜種メボソムシクイ Phylloscopous borealis xanthodryas
 3)改訂第6版では亜種オオムシクイ Phylloscopus borealis examinandus については、何も書かれていないので、この本だけでは、
  *オオムシクイという亜種の存在そのものを認めていない
  *亜種オオムシクイを認めているが、日本国内での記録を認めていない
 のいずれであるかは分からない。しかし、
  *日本鳥類目録改訂第5版(日本鳥学会 1974)は、


このページのムシクイは、鳴き声を聞いていないため、今のところオオムシクイと断定はできないが、時期と場所、形態、色彩から考えて、オオムシクイの可能性が高いので、ここではとりあえずオオムシクイとしておく。コムシクイまたはメボソムシクイの可能性がないわけではない。

囀り song
地鳴き call

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1. .2002年6月3日 石川県輪島市

本種は頭部と背の間に色彩のコントラストがない。初列風切の突出は大きく、三列風切とほぼ同長。上面の色彩はセンダイムシクイに比べて緑色みに乏しいが、エゾムシクイよりは緑色みが強い。翼帯は2本あるが細く、羽毛が磨耗すると不明瞭になる。日本産ムシクイ類の中では大型で、嘴や脚はがっしりしている。
2. 2003年6月5日石川県輪島市

.下嘴先端は暗色である。地鳴きは「ジジッ」または「ジッ」と濁る。
3. 2003年6月4日石川県輪島市

草地に死体が落ちていたので、じっくり観察することにした。下嘴の縁は黄色みがあり、その下が暗色である。
4. 2003年6月4日石川県輪島市

下から見たところ。下嘴はこんな風になっている。下嘴の色彩は、オスのほうが黒みがつよく、メスのほうが褐色みが強いらしい。
5. 2003年6月4日石川県輪島市

最外側初列風切は初列雨覆とほぼ同じ長さ。山階(1941)によれば、これは亜種オオムシクイ(P. b. examinandus)とコムシクイ(P. b. borealis)の特徴に一致し、亜種メボソムシクイ(P. b. xanthodryas)の最外側初列風切は初列雨覆より1-3mm長い。しかし、最近の調査によると、この特徴では亜種の判定は難しいらしい。
6. 2003年6月4日石川県輪島市

脚の色はこんな風(自分で判断してね、私は色弱なので)。細く見えるが、これでもムシクイ類の中では太いほうである。
7. 1998年5月26日石川県輪島市

翼を広げたところ。翼式が分かる。最外側初列風切(p10)は、ムジセッカやカラフトムジセッカに比べると、ずっと短い。最長初列風切はp8(外側から3枚目)。
ムシクイ類はこのように移動する時などにパッパッと翼を開くので、その瞬間を狙ってシャッターを切れば、翼式を判定できる(そんなこと、できるわけないだろ)。
8. 2003年6月4日石川県輪島市

眉斑は嘴の付け根より手前でぶつっと切れるような形であり、特徴の一つなっている。春に見るメボソムシクイの眉斑はこのように普通、あまり太くない。
9. 1994年10月18日石川県輪島市

秋に見るメボソムシクイの眉斑はしばしばこのように幅が広い。第一回冬羽の特徴なのだろうか? ただし個体差もある。
 森岡(2002)は、ヤナギムシクイのメボソムシクイとの識別点の一つとして「眉斑が太く、とりわけ目より後ろでより太くなっていること」を挙げているが、秋はこの写真で分かるとおり、上記の特徴にぴったり当てはまってしまうメボソムシクイが多くいるので、十分注意しなければならない。しかし、嘴の付け根より手前でぶつっと垂直に眉斑が切れる特徴は、ヤナギムシクイとの識別の判断材料になると思う。

文献
森岡照明 2002. 2001年5月5日舳倉島に出現したムシクイ類. Birder 16(9): 50-53.


10. 1994年10月18日石川県輪島市

9と同一個体。

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