オオムシクイ Japanese Name: Oo-mushikui

学名 Scientific Name : Phylloscopus examinandus
英名 English Name : Kamchatka Leaf Warbler

メボソムシクイは従来、コムシクイやオオムシクイを含む一つの種として扱われてきたが、最近の研究によれば、これらは以下の3つの種に分けられるとされた。さらに、2012年9月に発行された日本鳥類目録改訂7版(日本鳥学会 2012)も、この説にしたがい、メボソムシクイを3種に分けた。したがって、本サイトもメボソムシクイを3種に分けることとするが、当面は、いままでのページがどの種であるか、ページのトップに示すだけとする。

和名: コムシクイ  学名: Phylloscopus borealis  英名: Arctic Warbler
和名: オオムシクイ  学名: P. examinandus  英名: Kamchatka Leaf Warbler
和名: メボソムシクイ  学名: P. xanthodryas  英名: Japanese Leaf Warble

このページのムシクイは、鳴き声を聞いていないため、今のところオオムシクイと断定はできないが、時期と場所、形態、色彩から考えて、オオムシクイの可能性が高いので、ここではとりあえずオオムシクイとしておく。コムシクイまたはメボソムシクイの可能性がないわけではない。

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11. .2004年9月25日
石川県輪島市

本個体は当初、現地ではキタヤナギムシクイと同定されていた。おそらく翼帯がないことと、近くにいた他のメボソムシクイに比べて灰色みが強かったことによると思われる。みられた環境はクロマツ林の中であり、キタヤナギムシクイが通常みられる林縁部や草地とは異なる。
12. 2004年9月25日
石川県輪島市

11と同一個体。顔の全体的な印象は、私には一見してメボソムシクイを感じさせた。このような顔の第一印象による同定は、慣れないと難しいかもしれない。
13. 2004年9月25日
石川県輪島市

11、12と同一個体の顔のアップ。この個体は眉斑が前方によく伸びており、しかも途中で急激に下方に曲がり、鼻孔近くまで伸びている。この点は典型的な本種と異なると思われる。
14. 2004年9月25日
石川県輪島市

11-13と同一個体。眉斑が前方によく伸びていること、上面(特に雨覆)の緑色みが弱く、灰色みがあること、翼帯がほとんど見られないことはメボソムシクイらしく見えず、誤認の元になったと考えられる。
15. 2004年9月25日
石川県輪島市

14の写真の頭部から上背、大雨覆にかけてのアップ。雨覆は古くて非常に擦り切れている。このために翼帯が不明瞭になっている。上背も換羽中と考えられ、灰色みを帯びている。この個体は、これらのことから、冬季に獲得した古い羽毛を保持している、前年以前に生まれた成鳥の可能性がある。しかし、このように秋の渡りの時期に古い羽毛を保持したままのメボソムシクイ成鳥は、むしろ例外的であると思われる(Alstrom et al. 1991、Svensson 1992などの記述による)。
16. 2004年9月25日
石川県輪島市

11-15の個体と同一の日に撮影した別個体。翼帯が明瞭に見える。この個体はこの年生まれの第一回冬羽の可能性がある。
17. 2002年10月20日
新潟県新潟県岩船郡粟島
高田賢一郎氏撮影

この個体当初、頭部から上背にかけて緑色みが少なく灰色がかっているため、古い磨耗した羽毛を持った成鳥としていた。
しかし、撮影者の高田賢一郎氏から、
・大雨覆の磨耗はそれほど激しいようには見えない。
・中雨覆先端色ははっきりしないが、黄色みがあるかもしれない。光彩の色もはっきりしないが、どちらかといえば、青〜灰の冷色系のように見える。
・尾羽の先端が尖っているかもしれない
などの指摘を受けた。したがってこの個体は第一回冬羽の可能性がある。Lars Svensson(1992)の"IdentificationGruide to European Passerines 4th edition"の記述によれば、秋の成鳥−第一回冬羽の羽毛の磨耗の度合いの違いはわずかとされており、年齢の判定には慎重さが必要と思われる。
この個体の眉斑と過眼線の後端は細く、典型的な個体とは異なる。
18. 1998年9月28日
石川県輪島市
小林靖英氏撮影

秋に撮影された個体で、中雨覆・大雨覆ともに先端は白色であり、二本の翼帯が明瞭である。頭と上背は、緑褐色で、コントラストは感じられず、眉斑の形(嘴のずっと手前でぷっつりと切れる)も典型的なメボソムシクイの特徴を示している。ただし、この時期の個体としては、眉斑は細めのように思われる。この個体は中雨覆の先端が白いことから、成鳥の可能性がある。眉斑が細く見えるのもそのためかもしれない。
19. 1999年9月30日
石川県輪島市
小林靖英氏撮影

頭部が灰色みを帯び、眉斑が白いため、エゾムシクイと誤認される危険性のある個体。しかし眉斑は前半が太く、鼻孔の手前で急激にほぼ垂直に切れており、エゾムシクイの眉斑の形とは異なっており、メボソムシクイであることを示している。腹部の中央が黄色い点もエゾムシクイらしくなく、メボソムシクイと言ってよい。嘴の長さはエゾより長く見える。やや判断に迷う個体だが、メボソムシクイとして、さしつかえない。

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