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キタヤナギムシクイ Japanese Name: Kita-yanagimushikui

英名 English Name : Willow Warbler
学名 Scientific Name : Phylloscopus trochilus

9. 2005年9月23日 石川県輪島市

 この個体の眉斑は長く、前半がやや太くて後ろが狭い。
 眉斑や体下面の黄色みは、9月はじめの個体に比較すると淡いが(1ページNo.4, 5の個体)、11月の個体に比較すると濃くて範囲も広い(1ページNo.1から3の個体)。これは羽毛の磨耗の程度によるものと推定される。
10. 2005年9月23日 石川県輪島市

 9と同一個体。
 体下面は汚れた黄色で淡い暗色の縦斑がある。これはおそらく個体差によるものと思われ、通常、このようおな縦斑は見えないことが多い。
 脚は黒っぽく見えるが足指はより淡い色に見える。
11. 2005年9月23日 石川県輪島市

 9、10と同一個体。
 体下面の汚れた黄色と縦斑がよく分かる。この個体は主にトベラの木で採食し、低いときには地上0.5m、高い時には樹冠で採食したが、地上1m付近で採食することが多かった。
 この個体を確認した場所は1ページ目に示した1993年11月15日の個体(No.1から3)および1998年10がつ16日の個体(No.8)を観察した場所の近く(50m以内)であった。渡り途中のキタヤナギムシクイは、広い樹林の中心で見られることはまずないと言って良く(私は見たことがない)、私自身は過去に、草地の中に低木が点在している場所や、幅の狭い低木林、クロマツ林の林縁、込み入ったブッシュなどで見ている。
12. 2005年9月23日 石川県輪島市

 9から11と同一個体。
 この個体はしばしば鳴き声を発したが、その声は「チュイ」という声で、通常の個体が発する「フイ」という声とは明らかに異なっていた。しかし、その他の特徴はキタヤナギムシクイに一致した。なお、「フイ」という地鳴きは、おそらく本種のどの亜種にも共通する声であると推定されるが、Cramp(1992)は、旧北区西側地域(ヨーロッパなど)で迷鳥として確認されるyakutensisタイプ(yakutensisとは断言していない)は基亜種やacredulaより明瞭な「chweet」という声で鳴くことを記述しており、このような声で鳴く地域個体群が存在するのかもしれない。

文献:
Cramp, S. (ed.) 1992. The Birds of the Western Palearctic. Vol.6. Oxford University Press, Oxford.
13. 2005年9月23日 石川県輪島市

 9から12と同一個体。
 この個体を観察した日の2日前の9月21日に観察した個体は、体下面のほとんどは汚れた白色で、下腹と下尾筒だけわずかに黄色みがあった。そのような個体は成鳥と推定され、1ページ目と本ページに示した、明瞭に黄色みのある個体は、いずれも第一回冬羽と思われる。
 私の観察では、日本国内で観察される本種は、尾を時々あるいは頻繁に下方に振る。しかし、Svensson et al. (1999)は、チフチャフと本種との相違点として、本種は尾を振らないことを挙げている。本種には亜種が3つあり、ヨーロッパの大部分で見られる本種は基亜種であり、日本国内で見られる亜種はyakutensisという本種の中ではもっとも東に分布する亜種である。尾を振るのは本亜種の特徴なのかもしれないが、今後の調査が必要である。なお、このページと1ページに掲げたNo.1からNo.13までの全個体は、いずれも亜種yakutensisと推定され、一般にヨーロッパの基亜種よりも脚の色が暗色である。ヨーロッパのフィールドガイドのキタヤナギムシクイの脚はずっと淡色に描かれており、フィールドガイドの脚の色だけを見ると、むしろチフチャフに似ているので、ヨーロッパのフィールドガイドを調べるときには亜種に注意を払わなければならない。

文献:
Svensson, D. L. Grant, P. J. Mullarney, K. & Zetterstrom 1999. Collins Bird Guide. Harper Collins, London.
14. 2003年9月26日 石川県輪島市

 眉斑が細めで後半が特に細い個体。
15. 2003年9月26日 石川県輪島市

 14と同一個体。大雨覆羽縁は淡色だが、明瞭な翼帯として見えるほどではない。

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