キタヤナギムシクイ Japanese Name: Kita-yanagimushikui

英名 English Name : Willow Warbler
学名 Scientific Name : Phylloscopus trochilus

1. 1993年11月15日 石川県輪島市

翼帯が無く、初列風切が長い。チフチャフは本種に似るが、三列風切に対する初列風切の突出量はもっと小さく、三列風切の2/3から1/2程度である。眉斑は黄色みを帯びる。過眼線はメボソやエゾに比べるとやや淡く、おだやかな顔つきに見える。
 なお、本種は一般に三つの亜種に分けられるが、日本で記録されているのはもっとも東に分布する亜種yakutensisで、もっとも西に分布する基亜種(P. t. trochilus)より上面の褐色みが強くて下面の黄色みが淡く、脚はより黒っぽい。そのため、基亜種に比べると、よりチフチャフP. collybitaに似た点が多い。
 平凡社の「決定版日本の野鳥590」(真木・大西 2000)の解説文を担当した大西敏一氏によると、同書のキタヤナギムシクイの写真(亜種yakutensisと考えられる)をヨーロッパ人が見ると、チフチャフだとしばしば言うそうである。これは本亜種が、チフチャフのヨーロッパ産亜種に似ているためと思われる。
2. 1993年11月15日 石川県輪島市

1と同一個体。尾はムシクイ類としては長い。この個体の眉斑は前後で幅に変化が無い。羽は擦り切れているが、ここに挙げた4個体の中で顔は一番美形である(?)
地鳴きは「フイ」という尻上がりの声で、普通はあまり大きな声を出さないが、警戒しているときは大きな声を連続して出すこともある。センダイの声にやや似るが、センダイは「フィ」と一音節なのに対し、本種は2音節になる。
 大西敏一氏によると、キタヤナギムシクイの識別点としてまず着目するポイントは体形であり、翼が長いため、後ろに引き延ばされたように見える。そのために体形がチフチャフやメボソムシクイとは異質のものとして見える。
 私の印象では尾がやや長く見える点も、後に引き伸ばされたような体形に見える原因になっているように思われる(写真7も参照のこと)。この写真では、そのような体形の特徴が分かりやすく写っていると思う。
3. 1993年11月15日 石川県輪島市

1、2と同一個体。頭は通常、チフチャフの方が丸みを帯びて見えるが、本種もこのように丸みを帯びて見えることがある。顔から喉にかけて黄色みがあるが、モリムシクイとは異なり、腹部の白色との境界ははっきりしない。
4. 2000年9月5日 石川県輪島市

上の個体に比べて、羽毛が新鮮で、磨耗があまり見られない。黄色みも鮮やかである。初列風切の突出は上の個体より小さく見える。
口笛でキタヤナギムシクイの鳴きまねをしながら歩いていたら、本物が飛び出してきて驚いた、という個体である。その後、家の近所でも鳴きまねをしてみるが、ネコが飛び出してもキタヤナギムシクイは飛び出さない。
5. 2000年9月5日 石川県輪島市

4と同一個体。この個体の過眼線は黒味が強く、眉斑は前半が太い。
6. 1998年9月19日 石川県輪島市

眉斑の形は上の2個体とやや違い、中央部で幅が広く、前と後で狭い。過眼線は目先で黒っぽく太い。文一総合出版の「日本の鳥550」の1〜3の個体と同一個体と思われる。
7. 1998年9月19日 石川県輪島市

6と同一個体。下尾筒に黄色みは感じられない。尾の長さにも注目。
8. 1998年10月16日 石川県輪島市

上のいずれの個体とも別個体。目先の過眼線は黒っぽいが6の個体より細い。
本種の下嘴の先端は暗色だが、基部は淡色。よく似たチフチャフは下嘴全体が黒い。脚ももっと黒っぽい。

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