メボソムシクイ? Japanese Name: Meboso-mushikui

学名 Scientific Name : Phylloscopus xanthodryas
英名 English Name : Japanese Leaf Warbler

メボソムシクイは従来、コムシクイやオオムシクイを含む一つの種として扱われてきたが、最近の研究によれば、これらは以下の3つの種に分けられるとされた。さらに、2012年9月に発行された日本鳥類目録改訂7版(日本鳥学会 2012)も、この説にしたがい、メボソムシクイを3種に分けた。したがって、本サイトもメボソムシクイを3種に分けることとするが、当面は、いままでのページがどの種であるか、ページのトップに示すだけとする。

和名: コムシクイ  学名: Phylloscopus borealis  英名: Arctic Warbler
和名: オオムシクイ  学名: P. examinandus  英名: Kamchatka Leaf Warbler
和名: メボソムシクイ  学名: P. xanthodryas  英名: Japanese Leaf Warble

 以下の写真の死体は、後藤義夫氏から譲り受けた。また、亜種の同定については、立教大学理学部生命理学科動物生態学研究室の齋藤武馬氏にご教示いただいた。両氏に御礼申し上げる。

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1. 2006年5月26日 石川県輪島市にて後藤義夫氏拾得

 本種の亜種同定は難しいが、立教大学でメボソムシクイの系統分類を研究している斉藤武馬氏に見ていただいたところ、計測値や背面、下面の黄色味が強いことから、亜種メボソムシクイPh. b. xanthodryasの雄ではないかと 思われるとのご回答をいただいた。DNAは未分析である。
 写真から本亜種の特徴である体下面の黄色が明確に確認できる。本州中部域でこの時期によく聞かれるさえずりは「ジジロ、ジジロ」という3拍子のもので、亜種メボソムシクイの「チョリチョリ、チョリチョリ」という4拍子の囀りはめったに聞かれない(通常もっと早い時期に聞かれる)。しかし、この死体の拾得、および2005年5月23日に石川県舳倉島で本亜種と考えられる囀りが複数確認されたことから(渡部 2006)、この時期においても本亜種が少数通過しているものと思われる。

文献:渡部良樹 2006. 2005年5月に舳倉島で聞かれたメボソムシクイPhylloscopus borealisの囀りの変異. 平野賢次(編) 石川野鳥年鑑2005. : 78-82. (財)日本野鳥の会石川支部, 金沢.
2. 2006年5月26日 石川県輪島市にて後藤義夫氏拾得

 1の写真の頭部のアップ。耳羽はまだら状になっている。ヤナギムシクイの耳羽はこれほどまだら状ではない。
 ジジロ鳴きの個体(page1から3の全てまたは多くはそれに含まれると推定される)に比較し、嘴はわずかに華奢に見える。しかし野外での確認は難しいかもしれない。
3. 2006年5月26日 石川県輪島市にて後藤義夫氏拾得

 初列雨覆と初列風切の比較。最外側初列風切(p10)は翼の外に飛び出て見える部分であるが、p9以下の初列風切羽に比べてかなり短い。しかし、初列雨覆よりはかなり長い。斉藤武馬氏の測定によれば、P10-PC(初列雨覆最長羽)は、2.34mmであった。山階(1941)によれば亜種メボソムシクイの最外側初列風切は初列雨覆より1-3mm長い。
4. 2006年5月26日 石川県輪島市にて後藤義夫氏拾得

 初列風切の拡大。翼式はP8>7>6>9>5>4>3>2>1であり、最長初列風切p8は、p7より明らかに長く見える。
5. 2006年5月26日 石川県輪島市にて後藤義夫氏拾得

 側面から見た嘴のアップ。上嘴は全体に暗色だが、下嘴は基部が汚れた黄色である。
6. 2006年5月26日 石川県輪島市にて後藤義夫氏拾得

下方から見た下嘴。コムシクイP. borealis1より太いが、野外での確認はかなり難しいと思われる。

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