ウグイスの「ほーほけきょ」の声は息を吐いているの?吸っているの?Part2


 まずそもそも鳥たちは、どのようなメカニズムで、声を発しているでしょうか?それについては、こちらのサイトが参考になります(ちなみにこのサイトを教えてくださったのは、当然濱尾章二さんです)。

http://www.indiana.edu/~songbird/multi/media_index.html

 鳥類では、のどの左右に「鳴管」というものがあります。そこでは左右で異なる音を出せる上、その後、器官で変調をかけるときの筋肉も左右別々に制御できるので、1羽でかけあいのように鳴いたり、さらには同時に合奏のように鳴いたりすることができます。うーむ、1人掛け合い漫才ですね。

 やや古い文献で、絶版になっているかもしれませんが、岩波新書に「小鳥はなぜ歌うのか」(小西正一 著)という本があります。著者は長年、鳥類の鳴き声について科学的に研究し、海外の大学の専門家の下でも勉強されたかたであるので、その記述には信頼性があります。この本に鳥の発声機構についての記述がありますので、日本語で読みたい方にはお勧めです。私事ですが、この本は昨年(2004年)6月に亡くなった私の父の遺品であり、入院中の父の本棚からこれを見つけ、
「あ、どうせお父さんは今、読むことができないのだから、持っていっちゃえ。」
と実家から、父の承諾も得ずに勝手に持ち帰ったまま、私の所持品になったのがこの本です。大して野鳥に興味があったと思えない父がどうしてこの本を持っていたのか、いまだに謎ですが、できそこない(事実)の息子がやたらに関心を抱いている野鳥がどのようなものか、調べようと思いついたのかもしれません。話がそれましたが。

 まず、この本に書かれていることをご紹介しましょう。日本の鳥類学の創生期に、多くの鳥類学に関する研究を行い、かつ多くの有能な(そして後に指導者となった)鳥類学者を育てたことで知られる、京都大学の川村多実二博士の観察によると、寒い日にウグイスが鳴くのを観察し、白い息によって、息を吐いたか吸ったか判断した結果、「ウグイスのホーホケキョのうち、ほーとなくときは息を吸っている」と結論付けられたそうです。さまざまなネット上の記述やある種の本に書かれていることは、これが元になっているのかもしれません。

 しかし、実はこの解釈は間違っていた、と小西博士は書いています。鳥が鳴いているときに、息を吐いているのか、吸っているのか、調べるのはかなり難しいことなのです(濱尾章二博士の私信による)。そして、鳥が息を吸っている時と吐いている時のどちらの時に、声を出しているのか?という簡単な質問も最近までわかっていませんでした。この問題に対して、はじめて一つの研究結果を出したのは、おそらくアメリカのコルダーによる、カナリアを使っての研究のようですが、私はまた眠くなってしまいました。この研究結果に就いては、また次回に回します。ご期待ください。zzz

2005年12月30日
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